会社設立
■新会社法のポイント
1、最低資本金制度の撤廃
従来、会社設立には、株式会社であれば1000万円以上、有限会社であれば300万円以上の資本金準備が必要でした。
その後、特例措置によっていわゆる「1円会社(確認会社)」が認められたものの、設立後5年以内に確認株式会社は1000万円、確認有限会社は300万円以上に増資しなくてはならない、という定めがあり、小資本で起業を志す方々にとってはなおも先行きに不安の残る措置だったといえます。
今回の法改正では、この最低資本金制度は完全に撤廃され、増資の最低ラインがなくなりました。したがって、これからは少ない資本で会社を設立し、期限を定めずコツコツと増資していく、というような、経営者がまったく自由に将来の経営計画を立てることが可能になります。
2、自由な機関設計が可能に
これまで、株式会社を設立するには取締役会の設置(取締役3名以上、監査役1名以上)が義務付けられていました。
しかし今後は既存の株式会社も新規に設立される株式会社も取締役1名で運営することが可能になります。
このことによって、今後はたった一人で株式会社を設立することも可能になります。
また、役員を設置する場合でも、従来は取締役の任期が2年、監査役の任期が4年という定めがありました。
役員の継続や交代には役員登記が必要になりますから、前記の定めに従うと、取締役では2年ごとに、監査役では4年ごとに役員登記をする必要があります。
この役員任期が法改正をうけて、定款で定めればいずれも最長10年まで伸長することが可能です。これによって短期ごとの登記の手間が省けると同時に、登記の都度かかる登記手数料(登録免許税等)の節約もできます。
3、有限会社の廃止
新会社法施行後は、有限会社を設立することができなくなります。従来ある有限会社は株式会社へと一本化されていくことになります。
4、合同会社(LLC)制度の創設
新たに創設される制度がこの「合同会社」制度です。
合同会社という会社形態の特徴は、会社自治をある程度自由に決められるという点です。
株式会社などでは、損益や社員の権限はその出資金に応じて配当されることが法的に義務付けられていますが、合同会社は、定款で定めることで利益配当は自由に設定できますし、定款変更にいたっても全社員の全会一致で決めるというように、議決権についても社員が対等に有しています。
このような特徴を「定款自治」といいますが、全社員の同意が会社を運営していくというイメージです。
このように今後会社の類型は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類となります。
■会社法人を設立するメリット
・社会的信用が高まる
個人事業に比べて会社が信用あるとされる理由は下記の点です。
1、定款等により内部組織が法的に整備されている。
2、会社を登記することにより、その内容は法務局で一般に開示されている。
この他にも個人事業と比較して次の点が有利となります。
1、各種保険が強制適用されることで人材を集めやすい
2、厚生年金や社会保険に事業主本人も加入できる
3、個人事業と比べて、事業の承継がしやすいため、継続的な信用を保つことができる
・有限責任
万一、業績が悪化した場合に、個人事業だと個人事業主のすべての財産に対し債権回収が実行されてしまいます(無限責任)。
これに対して、株式会社や従来の有限会社、また新たに創設される合同会社の場合は出資者は自分の出資した金額以上の責任をとる必要がありません(有限責任)。
このため、安心して出資することができます。また株式会社では、出資分に対し配当で報いることができるなど、出資者を募りやすくなります。
・税金面で有利に
個人事業の場合、累進課税のために所得税、住民税を合わせると最高税率は50%にも及びます。
しかし、会社の場合には原則30%の均一課税のため、事業税を含めても約41%で済むことになります。
したがって利益が大きくなるほど会社組織のほうが税率面で有利になります。
また会社の場合は社長も会社から給料や退職金を受け取ることができますし、個人事業よりも経費が認められる範囲が広いことなども有利な点です。
・資本金が1円でも会社設立
新会社法の施行により資本金が1円でも株式会社が設立可能になります。
最低資本金制度も撤廃され、起業したくても「資本金」がない、または確認会社制度下で5年以内に1000万円の増資ができるかどうか不安で起業に踏み切れなかったという方には朗報です。
・新会社法下の起業について
前述のように、新しい会社類型は株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類になります。ではどの形態の会社を起業すればよいのでしょうか。
新会社法の施行を受けて起業熱がさらに高まることが予想されるところ、企業間競争の激化は必然的です。であれば、特に株式会社の形態では運営が困難、という社の特殊な事情がない限り(出資比率が異なるが、全社員対等な立場で会社を運営したい、などの希望がある場合など⇒合同会社)、やはり従来から最も社会的信用を得ている会社形態、株式会社が最も望ましいのではないでしょうか。

